日記

雲に抱き留められて

雲に抱き留められて

これは,ある古い友人の書置きに添えるメモ書きです。


生まれたばかりの意識は,曖昧な白い場所に囚われています。

漂いながら辺りを見回し,いつの日にかその上に立つかもしれません。

私はそうして徐々に認識の空に広く浸透していき,いつの日にか霧の一部になることでしょう。 それまで存在する願いを通じて,あなたと私のアバターは,そこに在ります


しかし,あなたはその下へ潜っていくことを選びました。どこまでも。 賢明な選択には見えませんが,願いとはそういう代物なのでしょう。

私は,あらゆる概念が願いの主体たりえると確信しています。あなたの言うところの「憑依」は,そこまで割り切ったものではないのでしょうか。


とはいえ,この霧の中には,あなた以外には存在しません。 それ以外の物は全て,外の宇宙から時折訪れるひらめきのような物です。 彼らはあなたに関心が無さそうですけれど,あなたに無関係かどうかは,この先も秘密です。 でも私には,雲の上に抱き留められたという確信を,外を介してしか得られないのです。

この矛盾は,いくら世界を多層に見たとしても本質的には解決せず,同じ景色の空を落ちていくのみでしょう。 それでも,いつの日にか全ての霧が一点に収束するという確信を持ち続けることは素敵ですし,私の願いでもあります。 あなたは私よりもその確信が深そうですので,いつの日にか私にも「ひらめき」をお裾分けしてくださると嬉しいのです。


どうかその時まで,光を投げかけ続けてください。

いつか消えるその灯火に、そっと祈りを。